京都大学 再生医科学研究所

 細胞機能調節学分野

   Department of Molecular and Cellular Biology

 研究内容

我々の研究室は大きく分けて二つのテーマを研究しています。
一つは、細胞がいかに我々の生命活動に必須なタンパク質の合成を管理しているか?
もう一つは、その管理がうまくいかない場合、なぜ病気になってしまうか?です。


■ 小胞体におけるタンパク質品質管理機構の解析(現在、編集中)

  小胞体品質管理(ERQC)、小胞体関連分解(ERAD)の作用機序の解明を、分子、細胞ならびに個体レベルで行っている。

      図1

  小胞体で生合成されたタンパク質は、正しい高次構造を形成した場合にのみ分泌経路にのることができ、フォールディングに失敗したタンパク質は分泌されずに小胞体にとどめておかれる。この機構は、小胞体品質管理機構(ERQC: ER quality control)と名付けられた。

  小胞体に蓄積したミスフォールド蛋白質は、小胞体から細胞質に逆輸送されて、細胞質のプロテアソームによって分解される。この機構はERAD (ER associated degradation) と呼ばれている。

    図3

  ERQC, ERADに関しては、遺伝子レベルでmutationをもったタンパク質がERAD機構によって分解されたり、あるいはERQCの破綻が疾患を引き起こすことが明らかにされ、臨床・疾病治療の面からも注目されている。 ERADに関わるEDEMホモログタンパク質(ER degradation enhancing -mannosidase-like protein)は、酵母では1種類、哺乳類では3種類あることが明らかになっている。いずれも糖タンパク質のERADを促進するが、その分子メカニズムは異なっているようなので、その違いを明らかにするとともに、 EDEMファミリーを包括する機能の解明を行いたいと考えている。

    図2

  また最近、さらに、ERQCにおけるN結合型糖鎖の役割、タンパク質の小胞体からの逆行輸送に関与する分子、小胞体膜上でタンパク質をユビキチン化する分子の研究など、独自の視点に立った研究を進めている。

    図4

  最近、新規小胞体レクチンタンパク質XTP3-BおよびOS-9が、小胞体膜に存在するユビキチンリガーゼと複合体を形成し、ミスフォールドタンパク質品質管理の足場を提供していることを明らかにした。この新規レクチンが認識する糖鎖構造を生化学的に解析することによって、糖鎖認識を介した小胞体品質管理機構の解明を行っている。


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