大学院生募集

私たちの研究に興味がある皆さんへ

 

2021年4月現在、当研究室では、新しいメンバー(大学院生を含む)の募集を中止しています。

 

私(杉田)が大学院生だった頃(1980年代後半)は、タンパク抗原に特異的な免疫応答の分子機構が飛躍的に解明された時期でした。タンパク質断片であるペプチドがMHC分子と結合した複合体の結晶構造やそれが認識するT細胞抗原受容体の遺伝子構造がセンセーショナルに発表され、免疫の最大の特長である抗原特異性の分子基盤がすべて解明された感がありました。私は、それらの研究成果を目の当たりにして、免疫の神秘が解き明かされてゆく感動を覚えるとともに、臨床内科医として素朴な疑問を感じていました。「免疫系が特異的に認識する抗原は、タンパク質だけなのだろうか?」と。

 肺炎球菌に感染すると、菌が産生する多糖に対する免疫応答が惹起されます。また、カンピロバクターと呼ばれる細菌に感染すると、糖脂質に対する免疫応答が起こります。さらに全身性エリテマトーデスという自己免疫病では、核酸に対して自己抗体が産生されます。つまり、私たちの免疫系は、タンパク質だけでなく、多糖や脂質、核酸に対しても特異的に応答する機構を有していると考えられます。しかし、その詳細なメカニズムは不明でした。

 このような背景から、私たちの研究室では、微生物やがん細胞が産生する脂質に対して特異的に応答する免疫システムの解明と、それを利用した脂質ワクチンの開発を進めています。免疫学、脂質生化学と細胞生物学を融合して、新しい研究領域を立ち上げています。バックグラウンドを問わず、免疫学の新しいパラダイムの確立とその応用に興味を持つ若者を歓迎しています。

 当研究室では、京都大学生命科学研究科および医学研究科(MDの方)より大学院生を受け入れています。興味がある方は、杉田までご連絡ください。

杉田 昌彦
京都大学ウイルス・再生医科学研究所 
細胞制御分野
msugita(at)infront.kyoto-u.ac.jp
Mail