Top>2) ヒトES細胞の分配と培養技術研修

2) ヒトES細胞の分配と培養技術研修

 安全性の確保のためには、血清などの成分が不確定で品質管理が困難な材料の使用は好ましくないというのが基本的な考え方になる。そのため成分が明らかな培養液(defined medium)の開発が進められており、実用的と考えられるものも作られるようになってきている。一方、細胞が接着する足場、基質に関しては未だ十分な性能を発揮するものが得られておらず、マウスのガン細胞から抽出したマトリックス混合物であるマトリゲルが標準的に用いられている。そのため、培養液同様に品質管理可能な培養基質の開発が必要である。我々は、ヒトES細胞でのインテグリンの発現パターンから、ES細胞の接着に重要な機能を持つと考えられるラミニンアイソフォームについて、そのES細胞の増殖や未分化性維持に及ぼす影響を解析した。その結果、インテグリンの発現パターンに対応するラミニン 332、511がES細胞の維持に有効であることがわかった。これらのラミニン分子は組み換え蛋白質として生産されたものであり、品質管理も比較的容易である。この成果はES細胞の医療応用に役立つと考えられる。

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Last Update on 2012.6.1