大学院教育Education
私達の研究室では、独立した研究者を育てることを目的としています。したがって、基本的に、自ら考えて研究を進めてもらうように促します。
修士課程では、免疫学・分子生物学・細胞生物学の基本的な考え方と実験技術を習得することを目標とします。さらに、実験・討論・セミナーを通して、自ら研究を構築する能力を修得するように指導します。
具体的には、最初の1~2ヶ月間、スタッフや大学院の上級生からさまざまな基本的な実験手技(マウスのジェノタイピング、マウスの解剖と細胞単離、抗体による染色、フローサイトメトリー(解析と分取)、PCR、RT-PCR、クローニング、シーケンシング、細胞培養など)を習ってもらいます。その後、スタッフや上級生の実験の一部を手伝いつつ、実験技術を定着してもらい、入学後3ヶ月くらいで自らの実験テーマを担当してもらいます。実験テーマは、指導教授と相談のうえ、本人の興味を配慮して決めます。その後は、スタッフや上級生とコミュニケーションを取りながら、できるかぎり主体的に実験を進めてもらいます。
博士課程では、さらに一歩進み、自ら研究テーマを見いだし、プロジェクトを構築し、論文を作成する能力を修得するように指導します。博士課程修了時には、研究者として独り立ちできることを目標としています。
具体的には、主となる実験テーマを進め論文にまとめもらうことは当然ですが、重要なことは、その過程で予期しなかった現象・結果を自ら「発見し」、それを種に次の実験や実験テーマを提案し、進めてもらうことを究極の目標としています。
研究室の週間スケジュール
- 月曜日 9:30~10:30 プログレスレポート
- 火曜日~金曜日 9:30等 個人ミーティング
- 土曜日 9:30~10:30 モーニングセミナー、中期プログレスレポート、発表予演など
個人ミーティング
各人最低1週間に1回、定期的におこなっています。教授と1対1で、1人あたり1時間ほどで、1週間分の実験結果と次の実験計画を討論します。特に、初心者の場合は、ちょっとしたことが原因で実験がうまくいかないことがあります。このような場合には、いっしょに実験ノートを細かく確認し、原因を推定して対処方法を決めていきます。ミーティングの中でも個人ミーティングは最重視され、実験結果のプリゼンテーションや解釈、トラブルシューティング、実験の計画、プロジェクトの構築、論文作成、などの研究者に必要な能力を磨いてもらう機会となっています。また、研究のことにかぎらず、さまざまな人生相談・助言もおこないます。定期的なミーティング以外にも、特に初心者は毎日ディスカッションをしています。
プログレスレポート
2~3週間分の実験結果をまとめ、一人あたり30分くらいで発表してもらい、全員で討論します。発表者がさまざまな視点からアドバイスを得ると同時に、参加者は各人の実験内容を知ることで、研究室内でさまざまな情報が共有されることになります。さらに、全員が質問し討論に参加することが求められており、これらの能力を磨いてもらう機会にもなっています。ミーティング後は、連絡事項のアナウンスと掃除をおこないます。
中期プログレスレポート
数ヶ月分の実験の進行状況を、研究の背景から今後の方向性までまとめて発表してもらい、全員で討論します。各人のプロジェクトを中期的な視点から見直してもらうことが目的で、これをきっかけに軌道修正をおこなったり、データが蓄積している場合には、論文の構想を練る機会にもなっています。また、ここでも全員が質問し討論に参加することが求められています。
モーニングセミナー
単に論文を紹介するだけではなく、内容の矛盾点や疑問、不足している実験などを指摘し、論文の審査員のような視点から批判的に討論します。これにより、免疫学・分子生物学・生命科学のさまざまな分野の知識を幅広く吸収するとともに、自分の実験データの不備や論理の穴を見つけ出す能力を磨いてもらう機会になっています。
研究室の年間行事
- 4月 お花見、新人歓迎会
- 4~6月 バーベキュー、ハイキング
- 7月14~16日 祇園祭宵山、納涼会
- 10~11月 バーベキュー、ハイキング
- 12月 研究室忘年会
- 3月 卒業・修了生送別会
また、歓送迎会、論文受理などの機会に、随時飲み会をやっています。
学会・研究会
- 5~6月 Kyoto T Cell Conference (KTCC)(京都にて)
- 7~8月 免疫サマースクール
- 10月 日本生化学会
- 12月 日本分子生物学会
- 12月 日本免疫学会
これらの学会・研究会には、主に大学院生に発表してもらいます。発表者の参加費・旅費は、研究室が負担します。学会の前には発表の予演会を、学会の後には報告会をおこないます。
さらに、京都を中心とした京阪神地区で開かれる、国内学会・国際学会・シンポジウム・研究会・班会議などが非常に多く開催されており、最先端の情報に容易に触れることができます。
ウイルス・再生医科学研究所の年間行事
- 4月 研究所見学会
- 5月 新入所者歓迎会
- 4~6月 ソフトボール大会(および懇親会)
- 1月 研究所新年会
- 不定期 Evening seminar(若手教員の発表)
- 不定期 学術講演会(新任教授、退職教授の発表)
- 不定期 研究所リトリート
ウイルス・再生医科学研究所は約30研究室からなっていますが、大学院生の数が約200人いることからもわかるように、たいへん若手が多い活気にあふれた研究所です。研究分野は、生命科学・免疫学・ウイルス学・再生医学・システム生物学と多岐にわたっています。上記の活動などを通じて、研究室間の交流がきわめて活発で、さまざまな分野の人からの刺激を受けることができます。
セミナー
ウイルス・再生医科学研究所セミナーが、年間60回程度開催されています(内、20回程度は英語で)。それ以外にも、iPS細胞研究所・医学研究科・生命科学研究科・理学研究科などが主催するセミナーが近隣で頻繁に開かれています。
共同研究
国内の他の研究室との共同研究のために、研究室を代表して大学院生を先方に派遣して、実験をおこなってもらうことがあります。
学部教育
例年、以下の講義を担当しています。
- 全学共通科目 ILASセミナー「ウイルスと生命科学の最前線」の2回(原・崔)
- 理学部「分子遺伝学Ⅱ」(前期、金曜日、2時限)の2~3回(生田)
- 医学部「免疫学」(前期)の1回(生田)
- 薬学部「感染防御学」の2~3回(生田)
学生支援
修士課程院生については、医学研究科TA (ティーチングアシスタント) のシステムによる援助があります。
博士課程院生については、ウイルス研究所のRA(リサーチアシスタント)、医学研究科TA、医学研究科RAなどのシステムによる援助があります。以上については、研究室訪問の際にくわしく説明します。
それ以外にも、希望する人には日本育英会等の奨学金制度もあります。こちらは、入試の成績で優先順位が決まるようです。
研究成果次第で、日本学術振興会特別研究員DC1、DC2に採用される可能性があります。